2011/06/22

無言館

長野県上田市の田園地帯の丘の上に立つ美術館「無言館」。
その窪島誠一郎さんが主宰される戦没画学生慰霊美術館の長編ドキュメンタリー映画が、
現在、京都の四条烏丸にある京都シネマで上映されている。

この映画の音楽を制作されたのが、作曲家、十河陽一さん。
これまでにも映画音楽を手掛けてこられた十河さんだが、今回の作品はどんな音楽なのだろう〜
映画には音楽がとても重要な役割を持つが、
その制作にはきっと数知れない苦労(涙?)があるだろうなあ。
ここに十河さんのメッセージを〜

映画スタッフの中の音楽担当者は、映画がほぼ完成した後の短い期間にテーマ曲やBGM、主題歌等多くの曲を書きあげねばならないかなり過酷な立場です。言わば映画製作のアンカーを務めるようなものです。ただ私がいつも感じるのは、自分が最後のスタッフであると同時に最初の観客であるということ。誰よりも先に映画を観賞する権利を与えられ、そこからインスピレーションを得て、映画の背景に奥行きを与える音楽を生み出せたとしたら、それは私にとっての大きな喜びとなります。

今回私が「無言館」から得たイメージを一言で言えば「祈り」。
映像の中に祈りを感じたというより、私自身が祈らざるを得ない、あるいは祈るしかないという思いを強く持ったということです。先日の東日本大震災で、文明の象徴であるビルや車が人命もろとも濁流に飲まれ、まるでおもちゃのように弄ばれる光景を目にした時、私たちは祈るしかなかった。そして、数十年前に戦争によって自己実現の機会を奪われた画学生たちが、死と向き合いながら丹精込めて描き遺した作品を目の当たりにした瞬間、私の中にあったのは、怒りや悲しみではなくやはり祈りでした。



早く観に行きたい!






京都シネマ(京都・四条烏丸)にて
7月8日まで上映中
上映時間は京都シネマに問い合わせて下さい。(075-353-4723)